芸能人の自死をきっかけにここ数ヵ月“産後うつ”について注目が集まっています。その方の自死の理由が産後うつかどうかは知りようもありませんが、産後うつについて改めて世の中が認識するきっかけになっていることは感じます。
産後うつとはいったいどのようなものなのでしょうか。また、産後うつを防ぐにはどのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。
これから出産を迎えるご夫婦はもちろん、身近に産前産後のご夫婦がいる方やこれから出産を考えている方もぜひご一読ください。
■産後うつとは
産後うつについては、以前LIB Laboratoryの記事でも取り上げたことがあります。
詳細はぜひそちらの記事をご覧ください。
□産後うつは日常生活能力を奪う恐怖の悪魔!早めに気づくべき11の症状大公開
厚生労働省が運営するサイト『e-ヘルスネット』には、次のような記載があります。
うつ病はとてもよく起こる病気ですが、女性の場合約12人に1人が一生のうち一度はうつ病におちいります。女性は男性の2倍うつ病にかかりやすいのですが、一生の中でも妊娠中や産後はとりわけうつ病がよく起こります。
産後1年以内の女性に死亡原因の1位が「自殺」というショッキングな結果もあるほどです。
産後に起こる変化には、環境、身体、心理、社会生活など多岐にわたり、本人には大きな負荷がかかっているのです。
一方で「赤ちゃんが生まれる」ということは幸福感を伴うものであり、幸せを感じているに違いない、という周囲の誤解からSOSを出しにくい状況にある方もいるのではないかと考えています。
「身近な人だからこそ相談がしづらい」
そう感じることがあるのであれば、遠慮なく専門家(医師、助産師、心理カウンセラーなど)や行政の相談窓口を利用して、心身の負担を軽くしてほしいと思います。
■産後うつは女性だけのものではない
最近では産後うつにかかるのは女性だけではない、ということが知られるようになりました。2020年には厚生労働省が実態を調べ支援策を検討するため、母子保健の専門家や精神科医などでつくる研究班を新たに設置したのです。
男性には女性のようなホルモンによる身体の変化はありませんが、環境、心理、社会生活には大きな変化があります。また、積極的に育児・家事の分担をしている方であれば、身体的な負荷から変化が出てくる方もいるでしょう。
「男性も女性と同じように育児・家事を負担するのが当たり前」
という現代においては、男女関係なく、産後の変化が心身に与える影響は大きいのです。
■産後うつを予防するためには?
産後うつについての評価をするために、『エジンバラ産後うつ病自己評価票 (Edinburgh Postnatal Depression Scale: EPDS) 』というものが一般的に用いられています。著作権の関係上、このコラムに記載をすることはできませんが、インターネットの検索などで出てくるので、気になる方は試してみてください。
産後うつを予防するために、私は積極的に第三者の手を借りることを推奨しています。行政の産後サポートサービスを利用したり、親族(ご両親やごきょうだいなど)、友人などから「手伝おうか?」と言ってもらったときには遠慮なくお手伝いをお願いするなど。
また、モヤモヤした気持ちやしんどい気持ちは外に吐き出すことが大事です。人にはなす、ノートなどに書き出す、スマホのメモ機能を利用するなど、気持ちを外在化させることで自分を客観的に見ることができるようになります。
■実際にすでに心身に支障が出ていると感じたら
これまで楽しめていたことに興味がなくなったり、起き上がるのがしんどいなど、「今までの自分とは違う様子」を感じたら、我慢せずに産婦人科、助産院、精神科、心療内科などを受診することもお勧めです。
「病院に行くほどではない」
と感じるようでしたら、助産師、心理カウンセラーなど、心理的ハードルの低い専門家に話を聞いてもらうようにしましょう。
■2020年はこれまでと違う世の中
2020年に産前産後を経験している方にとっては、これまでの妊産婦が経験したことのない体験をしており、なかなか参考になる話が聞けないともどかしく思っている方もいるかもしれません。
新型コロナウイルス(COVD-19)については、まだまだ未知のこともあり対策なども打ちづらい状況が続いています。第三者に相談することについても対面で会うことへの抵抗感が強い方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このような時代だからこそ、逆にオンラインサービスが充実してきてもいます。
実際に足を運ばずとも相談ができたり、セミナーを受講できたりするので、そういったものをぜひご活用ください。
LIB Laboratoryでは、オンラインにてカウンセリング、LINEカウンセリング、睡眠指導、ママ&パパ向けセミナーの開催を実施しております。生活スタイルに合わせてこうしたサービスをうまく活用し、心身の負担を減らす工夫についても考えてみてくださいね。
※カウンセリング、LINEカウンセリング、睡眠指導についてはこちら↓
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今井 さいこ Saiko Imai
LIB Laboratory代表。公認心理師/睡眠指導者。
高校生の時「環境が心に与える影響」に興味を持ったことから、大学で心理学を専攻。臨床心理学を中心に認知心理学、知覚心理学、行動心理学、生物心理学、発達心理学を学ぶ。 その後、社会人としてベンチャー企業に勤める傍ら、心理カウンセラーとしての勉強と実践を積み、女性向けカウンセリングを始める。 2013年から7年間妊活支援に特化した心理カウンセリングを提供。現在は、睡眠指導者やナチュラルライフセラピスト、アロマテラピーアドバイザーの知識も活かした心理カウンセリングにより、心身共に健康に導くカウンセリング、パフォーマンスを上げるための睡眠指導をカウンセリングに取り入れている。 https://www.liblaboratory.com/imaisaiko
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