精神科医/コラムニストの岡田夕子です。
皆さんは、「精神科・心療内科」と書かれているクリニックを駅の近くの看板など街中で見かけたことはありますか?精神科と心療内科が並べて書いてあって、「どう違うのだろう?」と思ったことがある方もいるはずです。
今回のコラムでは、ご質問の多い「精神科と心療内科」の違いについてお話しします。
精神科と心療内科、実は全く違うもの!
精神科というのは、精神科の医師がやっています。心療内科というのは、「心を専門的に診る」内科の医師がやっています。もちろん、精神科の医師が心を見ないというわけではありません。「心を取り扱う」という点で、少しオーバーラップしているのです。
精神科は、精神の病気(統合失調症や躁うつ病、発達障害など)を治療しています。
その一方で、心療内科の医師は、「心身症」と呼ばれる、心が原因だと思われる身体の症状を中心に診察を行っています。
ですから、診察している病気が、実は全然違うのです。
「精神科・心療内科」と書いてあるクリニックはそれぞれの専門医がいるの?
これは、実は1人の医師しかいないことが多いです。では、「精神科の医師と心療内科の医師と、どちらがいるのだろうか?」と疑問が湧くと思うのですが、大多数は「精神科」の医師がいると思っていただいていいでしょう。
「心療内科」という響きは、「精神科」よりもマイルドに聞こえませんか?そのため、精神科の医師が、「心療内科」と付け加えることで、より患者さんの敷居が低くなるのではないか、と考えて併記していることが多いです。
精神科医と心療内科医ってどっちが多いの?
心療内科学会の専門医の人数は、113人*。
日本精神神経学会の専門医は、11,000人**。
なんと100倍もの差があります(心療内科には登録医などもあるようですが、ここは専門医の数で比較しておきましょう)。
ですので、町のクリニックで「精神科・心療内科」と書いてあっても、心療内科専門の医師に当たることはまずなさそうですね。
まとめ
この記事では“精神科と心療内科”の違いについて説明させていただきました。まだまだ心療内科医の医師は少なく、これから発展していく分野かもしれません。
そして、「(精神的に)しんどいから病院にかかりたい」と思った場合は、99%ぐらいの確率で精神科の医師に当たることを承知で、クリニックの門を叩いてみましょう。
患者さんに対して「良くなってほしい」と思っていることは、どちらを専門にしている医師でも変わりないので、安心してかかりましょう。
引用:
◆心理カウンセリング
◆LIB Laboratoryの公式LINE
岡田 夕子 Yuko Okada
精神科医/コラムニスト
医師×YouTuber×Webライターとして、さまざまな分野で才能を発揮しています。運営するYouTubeチャンネル『精神科医・みずきのこころチャンネル』では、こころの病気・症状、お悩み解決の仕方などを、自分の体験談なども交えながら発信しています。
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