精神科医/コラムニストの岡田夕子です。
現在、全国にたくさんのカウンセリングルームがあります。個人で開業している方、オンラインカウンセリングやメールカウンセリングに特化しているところなど数えきれないほどのカウンセリングルームがあるのです。病院での診察・カウンセリングとそういったカウンセリングルーム(ここでは、私設カウンセリングルームと呼びます)は、どのような違いがあり、どのように使い分けたらいいのでしょう?
精神科医の目線から考えてみましたので、ご参考になさってください。
病院のカウンセリングって何をするの?
病院でのカウンセリングは、基本的に「医師の指示」のもとに行われます。精神科医と公認心理師/臨床心理士で相談の上、治療やカウンセリングの方針が決まります。カウンセリングの内容は、基本的には医師にも確認する義務がありますし、医師の方針とずれていくようなことがあれば、その都度話し合って調整をしていきます。
要するに、「精神科医の診察+公認心理師/臨床心理士のカウンセリング=その病院でのあなたに提供されている『診察』」ということもできます。精神科医と公認心理師/臨床心理士のカウンセリングは、呼応していると考えていいでしょう。
そして、医師の診察が必ず入るので、薬物療法も並行できます。
私設カウンセリングルームのカウンセリングって何をするの?
私設カウンセリングルームのカウンセリングは、通っているクリニックの精神科医の診察とは別に、クライエントであるあなたご自身で「行こう」と決めて行くものです。「どんなやり方(心理療法)が自分に合うかわからない・・・」という人もいると思いますが、「認知行動療法をやりたい」「トラウマを克服したい」など、目的意識がしっかりしている人が通う場合もあります。
また、並行して通院している場合、あなたが主治医に診察で伝えなければ、私設カウンセリングルームに通っていることは病院では把握できません(ただし、通院中であることについて公認心理師資格を保持するカウンセラーに伝えた場合、公認心理師は医師に指示を仰ぐことが法律で決められているため、私設カウンセリングルーム側が医師に情報提供を求めるので、連携をとることができます)。
ここにはデメリットがあって、カウンセリングの方針と主治医の方針がどんどんかけ離れていくことで辛くなる可能性があることです。また、その結果「私設カウンセリングルームだけ通う」といったような極端な選択に走ってしまう場合もあるでしょう。
直接のやり取りはなくても「患者さんに少しでも楽になって欲しい」という気持ちは、精神科医も公認心理師/臨床心理士などのカウンセラーも同じです。主治医と公認心理師/臨床心理士が連携を取れるようご自身で情報開示をしましょう。
また、公認心理師/臨床心理士は処方などできないので、そのような要望がある場合には病院に行ってくださいね。
どうやって使い分けたらいいの?
あなたが「認知行動療法をやりたい」「暴露刺激療法をやりたい」といったような明確な目標がある場合は私設カウンセリングルームがおすすめです。病院のカウンセリングよりも値段は張りますが、あなたがやりたいと思っている治療法を手助けしてくれるでしょう。
また、「薬物療法はちょっと怖いけど、カウンセリングは受けてみたい」「病院に行くほどではないけど最近気持ちが落ち込む」という人にも私設カウンセリングルームがおすすめです。
医師の診察時間内に話を伝えきれなかった場合には病院のカウンセリングがおすすめです。また、通院中で漠然と「誰かに話を聞いてほしい」という場合にも通いやすさの観点から病院のカウンセリングはお勧めです。医師と公認心理師/臨床心理士がタッグを組んで、あなたがよくなる道を探してくれるでしょう。
まとめ
簡単に病院と私設カウンセリングルームでのカウンセリングの違いを説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?
自分の目的意識がしっかりしている場合、診察には抵抗がある場合は私設カウンセリングルーム
医師の診察が必要だけど、診察時間内にすべての話を医師に聞いてもらえない場合は病院のカウンセリング
そうやって考えていただければ幸いです。
みなさんが少しでも楽になることを祈っています。
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岡田 夕子 Yuko Okada
精神科医/コラムニスト
医師×YouTuber×Webライターとして、さまざまな分野で才能を発揮しています。運営するYouTubeチャンネル『精神科医・みずきのこころチャンネル』では、こころの病気・症状、お悩み解決の仕方などを、自分の体験談なども交えながら発信しています。
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