こんにちは、精神科医/コラムニストの岡田夕子です。
今回のコラムでは、「産後うつとマタニティブルーズ」について取り上げます。
みなさんは、産後うつという言葉は聞いたことはありますか?もしくは、マタニティブルーズという言葉はご存知でしょうか?
出産は身体だけでなくメンタル面にも大きな影響を及ぼします。
今回は、出産に関するメンタルヘルスについてお話しいたます。
マタニティブルーズってなに?
まずは、マタニティブルーズについて説明しましょう。
マタニティブルーズとは、産後数日から2週間程度のうちに出る精神症状で、多くは、ふいに涙が止まらなくなったり、いらいらしたり、落ち込んだり、といった症状がでます。マタニティブルーズではなく、マタニティーブルーと呼ばれることもあります。
このマタニティブルーズは産後女性の30~50%が経験すると言われていますが、徐々に出産の疲れから回復し、子育てに奮闘していく中で、回復していくことがほとんどです。
ちなみに、なぜマタニティブルーズが起きるかという原因は、今の段階ではわかっていないです。
マタニティブルーズの第一選択はカウンセリング!
マタニティブルーズで精神的な落ち込みや不安感が強い場合、精神科受診を検討する方もいらっしゃることと思います。
一方で、母乳育児をしている方の中には、薬を服用したくないから病院にかかりたくない、といった心情の方もいらっしゃることでしょう。また、先ほどもお伝えした通り、時期が来れば治っていくこともあるため、その時期を待てばよい、と考えることがあるかもしれません。
ただし、「がまんする」選択は、自分をさらに追い詰めてしまうこともあるので、対策はとるに越したことはありません。
そういう時こそカウンセリングが一番です。自分の辛い気持ち、悲しい気持ち、イライラする気持ち、不安な気持ち・・・。あなたのさまざまな感情をカウンセリングではしっかりと受け止めてくれます。一度、勇気を出してカウンセラーに近宅をととってみてはいかがでしょうか。
LIB Laboratoryではオンラインカウンセリングを行っています。自宅にいながらカウンセリングを受けることができるので、お気軽にご利用ください。
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産後うつ病ってなに?
では、産後うつ病とは何でしょう?
文字通り、出産後にかかるうつ病・・・と思いきや、実はそうではありません。
最近の教科書では、「産後うつ病は出産より前から始まることが多い」と書かれています。症状としては、イライラしたり、不意に涙が止まらなくなったり、気分がおちこんだりと、マタニティブルーズと一見変わらない症状に見えます。その大きな違いは、出産前からなることが多い、ということです。
出産前、赤ちゃん用品を揃えに買い物に行っても、周りが幸せに見えるばかりで、「自分はこのままでいいのだろうか。どうして周りは幸せそうなのに、私は・・・」というようなネガティブな気持ちが湧き、落ち込んでしまうのです。
出産後も、状態は変わりません。赤ちゃんの泣き声を聞いても、対応ができなかったり、そういう自分によけいに苛立ってしまったりします。
そして、産後うつはうつ病の概念に当てはまるので、希死念慮を抱くこともあります。そうなったら病院に行って薬物治療を受けた方がいいでしょう。この時、母乳育児にこだわるあまり、通院を拒否したい気持ちが芽生えることもあると思いますが、まずはお母さんが元気でいることが一番大切なことです。
早期発見、早期治療。カウンセリングが有効!
希死念慮を伴うほどの産後うつには、もちろん適切な医療が必要です。でも、これは早めに対処していくことで、乗り切ることもできます。
産後うつが、出産前から始まることを知っていれば、妊娠中からカウンセリングに通うこともできます。ご主人の理解がない場合も、夫婦でのカウンセリングで公認心理師/臨床心理士の先生から説明してもらうことで、ご主人の理解も得ることができるでしょう。
こうして早期に受診につながれば、薬を使うことなく、立ち直って行かれる方も多くいます。「自分の悩みなんて他の人に比べたら」と思わずに、一度カウンセリングの門を叩いてみてください。
まとめ
今回は、マタニティブルーズと、産後うつの違いについて説明させていただきました。精神科の治療までたどり着くことがないよう、カウンセリングを有効に利用していただけたらと思います。
また、精神科の治療とカウンセリングの併用は相乗効果でさらに有効です。「精神科にかかっているし・・・」とカウンセリングの選択肢を排除するのではなく、併用して、できる限り早期の治癒を目指してくださいね。
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岡田 夕子 Yuko Okada
精神科医/コラムニスト
医師×YouTuber×Webライターとして、さまざまな分野で才能を発揮しています。運営するYouTubeチャンネル『精神科医・みずきのこころチャンネル』では、こころの病気・症状、お悩み解決の仕方などを、自分の体験談なども交えながら発信しています。
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