こんにちは、精神科医/コラムニストの岡田夕子です。
今回のコラムでは、「男性の産後うつ」について取り上げます。
みなさん、産後うつ病と聞くと女性だけに起こるものと思っていないでしょうか。この以前のコラムでも、女性の産後うつ病に焦点を当てた記事を掲載しています。
↓以前の記事はこちら↓
ですが、実は「父親」である男性も、産後うつ病になるのです。このことは知識がないばかりに女性と違って気づかれにくいものではありますが、早めの対処が必要となってきます。
今回はその点についてお話ししましょう。
男性の産後うつ病について
基本的には、気分の落ち込み、イライラ、不眠などの症状がありますが、ひどくなると希死念慮が出てくることもありますし、本当に行動に移す人もいます。この点は女性の産後うつ病と変わりません。
ただ、女性の産後うつ病は産前から始まることがありますが、男性の産後うつ病は、子どもが産まれてから始まり、子どもの成長に伴って悪化していくという特徴があります。症状は同じですが、起きてくる時期が違うということを覚えておいてください。
男性の産後うつ病の早期発見項目「睡眠状況」
男性は、本人もまさか自分が「産後うつ病」になるとは思っていません。そのため、どうしても気付くのが遅れがちになり、受診した時には相当悪化している、という例が多いです。
それをカバーするための「早期発見項目」があるのです。それが、「睡眠状況」です。
男性も初めての育児、なれない育児に疲労していきます。子どもが泣いていてもぐっすり眠れるお父さんも世の中にはたくさん存在しますが、産後うつ病になる男性は、睡眠状況の悪化(寝ても疲れが取れない、寝てもすぐに起きてしまうなど)が見られます。それが見られた段階で、一度精神科に相談してはいかがしょうか。
早期発見し、薬物療法が必要ないならカウンセリング
睡眠状況の悪化からご自身の状況を見極め、ひどいようであれば精神科への相談をおすすめしますが、「薬物療法はちょっと・・・」と抵抗がある方はカウンセリングもおすすめです。
父親としての育児に対するしんどさ、自分がこの先どうなっていくのかという不安、どう対応すれば回復して育児を手伝うことができるのかという見通し、いろいろな疑問が湧いて出てくることと思います。そういうときに、第三者に話を聞いてもらうことは非常に有用なことです。
本人のうつ病が進行していたら、迷わず精神科へ
男性の産後うつ病はなかなか気づかれないことが多いですが、気づかれずに進行し、カウンセリングでは対応できないとなった場合には、精神科の治療を優先しましょう。薬物治療に加え、カウンセリングを併用してもいいでしょう。
まずは、産後うつ病を治すことだけを考え、治療に専念します。そのためは家族の協力も必要です。ご自身の状況を1人で抱えるのではなく、パートナーはもちろん、必要であればご両親、義両親にも打ち明けて、治療と育児のサポートをお願いしましょう。
まとめ
今回は、男性の産後うつ病についてお話しさせていただきました。知識のなさから進行するまで気づかない・気づかれないことが多いですが、「男性にも産後うつ病が存在する」というのが事実をぜひ知ってください。
薬物療法、カウンセリング、きっとその方にあった治療法・改善法がありますので、家族で力を合わせて、立ち向かってくださいね。
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岡田 夕子 Yuko Okada
精神科医/コラムニスト
医師×YouTuber×Webライターとして、さまざまな分野で才能を発揮しています。運営するYouTubeチャンネル『精神科医・みずきのこころチャンネル』では、こころの病気・症状、お悩み解決の仕方などを、自分の体験談なども交えながら発信しています。
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