メンタルヘルスという言葉を最近はよく聞くようになりました。『メンタルヘルスクリニック』と書かれた看板を街でも見かけます。メンタルヘルスとは心理的な健康を意味し、私たちにとっては身体的な健康と並んでとても大切なことです。
来月10月10日は「世界メンタルヘルスデー(世界精神保険デー)」。
公益公団日本WHO協会は、世界精神保健連盟WFMHが中心となって、メンタルヘルスについての意識啓発と偏見をなくすための活動が行われていると述べています。また、震災や、職場や学校でのうつ病の増加など、心の健康へのニーズが高まっていることも説明しています。
世界各国が抱えている心の問題の中でも、“介護する側のメンタルヘルス”は老齢社会化が進む現在の先進国において、今後ますます直面してくる問題となるでしょう。
今回は、10月10日の「世界メンタルヘルスデー」にちなんで、読者の皆さまと一緒に、介護中の『メンタルヘルス』について考えていきます。
■『問題要因を減らすようにする 』、行動前の一休み
介護には、軽度介護から重度介護まで様々な段階がありますが、“自分ではない人の心身の面倒を見る”ということは、病んだ人を守る戦士という役割を担っている側面があると私は感じています。このように表現をすると、大変大きなプレッシャーの中で介護をしていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
こうした状態の中で困難や問題に直面すると、普段以上に心拍数があがり、動揺して慌てふためきます。『後悔先に立たず』とはよく言ったもので、このような状態で選択する行動にはミスを伴うことが多くあります。
問題に直面したときには、行動する前にはまずは一呼吸つき、一度立ち止って考えてから判断を下すことが重要です。衝動的にならず、ゆっくり落ち着いた状態で考え、行動に移しましょう。
また、心を落ち着けるために温かいお茶を飲むのもよし、甘いものが好きなら一口チョコレートなどを口に入れるもよし。落ち着きを取り戻せた感覚の中で自分の決断が及ぼす全体像を思い浮かべてみてください。冷静な選択を取ることができるはずです。
■『独り言も大切 』、体から不満を吐き出すチャンス
不満や疲れがたまると、体が重く感じませんか?胸が詰まったような感じになり、体の中に何か嫌なものが溜まった気分にもなります。
この鬱屈した気分を解消するために、独り言をお勧めします。
家の中や自分の部屋など、自分が“安心”を感じられる空間で、椅子や人形を相手に言いたいことを言ってみる。
体の中にたまった目に見えない毒が解放される感覚を持てるようでしたら、これを定期的に行ってみましょう。プレッシャーやストレスが軽減され、メンタル面の改善に役立ちます。
心のコップがネガティブな感情や気分で溢れる前に、余分な水を流してあげてくださいね。一番良いのは、自分のことを理解してくれる人に気持ちを聞いてもらう、セラピストなどの専門家に話をすることです。しかし、介護の状況によっては外出が難しい方もいるでしょう。そんな時には、自分でできることとして、「独り言」を取り入れてみてください。
■世界メンタルヘルスデー(世界精神保険デー)
10月10日の「世界メンタルヘルスデー(世界精神保険デー)」では、世界の様々な場所で心の健康を伝えるイベントが開催されます。2017年10月10日にイギリスのバッキンガム宮殿で開催された、世界メンタルヘルスデーのチャリティイベントにはキャサリン妃が出席したことでメディアでも話題になりました。
今年もイギリスでは、若い人向けのイベントが開催される予定で、音楽やダンス、映画の上映など、フェスティバル感覚でメンタルヘルスの重要さを社会に伝えます。
日本ではまだまだメジャーとは言えない「世界メンタルヘルスデー」ですが、身近なところでイベントが開催されるようでしたらぜひ参加してみてください。
安藤 麻矢 Maya Ando (コラムニスト)
ライター歴20年。専門分野は社会科学。趣味は動物の短編を書いたりイラストを描いたりすること。同情よりも共感が少なくなっている世の中、小さな手助けが人の心を救えることを信条としている。米国大学にて心理学学位取得、香港の大学にて健康行動学でマスターを取得しており、グローバルな視点と知識をもとにしたコラムを執筆している。LIB Laboratoryでは自身の介護経験を通じて感じることを心理学的な視点を交えてお伝えしている。https://www.liblaboratory.com/andomaya
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