精神保健福祉士・社会福祉士/コラムニストの久木田みすづです。
「なかなか眠りにつくことができない、何度も途中で目が覚めてしまう・・・」
特に理由は思い当たらないけれど睡眠に問題を抱えている女性は、数多くいると言われています。睡眠障害は何かしらの疾患のサインである場合もありますが、ホルモンバランスや生活習慣の乱れが原因になっていることも少なくありません。
今回のコラムでは、女性が影響を受けがちな睡眠障害の特徴や解決方法について、ご紹介します。
女性ホルモンと睡眠の関係
女性の体は、毎月の生理から、妊娠や出産に至るまで、常にホルモンの影響を受けているとされています。生理痛が重かったり、精神的に落ち込んだりすることは、経験の中で実感があるかもしれませんが、実はホルモンは、「睡眠」にも大きく影響を与えているのです。
女性ホルモンのしくみ 女性の体調をコントロールしているホルモンは、主に2つあります。1つは、女性らしい体を作るために卵巣から分泌される、「エストロゲン」です。もう1つは、「黄体ホルモン」と呼ばれ、妊娠のための準備に必要な「プロゲステロン」です。 これらは、女性が生きていくために重要な働きをしてくれるホルモンではありますが、時として、眠気やだるさなどを引き起こす原因にもなるのです。
生理前の不眠 睡眠には、内臓の温度を示す「深部体温」の役割が重要となっています。「深部体温」は、入眠時に急激に下がることで、深い睡眠につながります。しかし、生理の約2週間前からは、先述の「プロゲステロン」が増加することにより、昼間に深部体温が上がりにくく、夜間に下がりにくくなってしまいます。そのため、昼間はなんとなく気だるくて眠たくなるのです。また、夜は寝付きが悪くなったり、変な夢を見てしまったりすることにつながることがあります。
更年期の不眠 更年期には女性ホルモンが激減することにより、不眠に悩まされることが多くなります。急なのぼせや動悸を感じ、眠れない日が続くと、睡眠に対して恐怖を感じてしまう方もいるのです。この時期は、子どもが独立するなど、生活の変化によるストレスを感じやすいため、自律神経が乱れてしまうことも原因の一つとして考えられています。
女性の睡眠障害の解決方法とは
それでは、睡眠障害を解決するためにはどのような解決方法があるのでしょう?ここでは、いくつかの方法をお伝えします。
睡眠の周期を知る 現在は、生理日などの管理ができる女性向けアプリがたくさんあります。まずは、自分にあったツールを用いて、日々の記録をしていきましょう。体調や睡眠の状態などを記載していくことにより、睡眠のサイクルが分かるようになり、予定を立てやすくなります。また、これらを自分だけではなく、周囲の信頼できる人にも共有しておくことで、辛い時にサポートを得やすくなります。
漢方薬や、産婦人科の利用 生理前のイライラや不眠に悩む場合には、漢方も有効です。「抑肝散」という神経の高ぶりをおさめてくれる働きのある漢方は、薬局でも取り扱っています。 また、更年期障害によるのぼせが原因の場合は、ホルモン補充の必要がある場合が多いとされています。一人で悩まず、産婦人科に相談してみましょう。
カウンセリングの利用 睡眠は健康な体を維持するために、必要不可欠な要素です。不眠の原因が日頃のストレスである場合も高いため、疲れを感じたら、できるだけすぐに休むように心がけましょう。 また、眠れない日が1週間以上続く場合には、決して一人で悩まず、カウンセラーと話をしてみませんか?精神科に行くことはハードルが高くても、インターネット上のサービスを利用し、30分から1時間程度、心理カウンセラーに話を聞いてもらえるだけでも、とても心が軽くなりますよ。 ◆LIB Laboratoryのオンラインカウンセリング https://www.liblaboratory.com/book-online
眠れない日々が続くと、何かの病気にかかっているのではないかと不安になることもあるでしょう。しかし、ホルモンバランスや生活習慣に原因が隠れていることもめずらしくありません。そのため、ホルモンバランスの働きやしくみの知識を身につけることが大切です。また、思い切って生活習慣を変化させることも重要だと言えます。
参考URL:
「厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト eヘルスネット」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-005.html
◆心理カウンセリング
◆LIB Laboratoryの公式LINE
久木田 みすづ Misuzu Kukita
カウンセリングセンターや精神科病院に勤務。うつ病などの患者さんや、その家族に対するカウンセリング・相談や支援を経験。以前より好きだった「文章で表現すること」を活かし、現在はメンタルヘルス系の記事を執筆するライターとして、多くの人に心と体をケアする大切さについて積極的に伝えている。
<保持資格>日本心理学会認定心理士、精神保健福祉士(国家資格)、社会福祉士(国家資格)
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