こんにちは、看護師・保健師/コラムニストの竹内英子です。
職場や学校、家庭などで日常的に会う相手からの執拗な嫌がらせ「ハラスメント」。ハラスメントを受けると、身も心も消耗してしまうものです。
今回のコラムでは、ハラスメントに遭遇した際にはどのように対応すればよいのか、一緒に考えていきます。
ハラスメントが心身に及ぼす影響
ハラスメントが恐ろしいのは、徐々にハラスメントを受けている被害者の側が「自分が悪いからこんな目に遭わされるのだ」と思わされてしまうということ。ハラスメントに遭遇したら、「自分さえ我慢すれば…」「これ以上ひどいことをされないように静かにしていよう」などと思いがちですが、気力の残っているうちにしっかりとした対応をおこなっていくことが大切です。
ハラスメントを受け続けるとどうなる?
ストレスで食欲減退、下痢便秘などの身体症状などが現れます。同時に寝つきが悪くなったり夜中や早朝に目が覚めたりするようになり、睡眠の質が下がります。これらが原因となって血圧などの検査値にも異常が現れることもあり、悪影響は全身に及びます。
人間関係においても、イライラして後輩や子どもなど周囲に八つ当たりしてしまうこともあります。また倦怠感が強くなりボーっとしてミスや事故を起こしやすくなることもあります。
ハラスメントを放置すると後遺症を残すことも
長期間にわたりハラスメントを受け続けると、不可逆的な後遺症が残ることもあります。
うつ病や対人恐怖症、PTSD(心的外傷ストレス障害)などの精神疾患を発症したり、自殺に至ったりする可能性もないとはいえません。また、強いストレスにより睡眠や食習慣が乱れることで高血圧や糖尿病などが悪化して脳卒中や心臓病になってしまうなど身体への悪影響が起こることもあります。
ハラスメントへの対応方法
「これってハラスメント?」と気づくまでには、少し時間がかかります。ハラスメントかもしれないと思った段階で、すぐに対応していくことが大切です。
ハラスメントと思われることを手帳やスマホに記録する ハラスメントかどうかを判断する際に、「いつどこで誰が自分に何をして、自分はどんな気持ちになったか」という記録を付けておくことは対応に役立つだけでなく、無力感におちいることなく自分の状況を把握するために役立ちます。
周りの人に相談する まずはハラスメントをしてくる相手のことを知っている人や組織の窓口に相談してみるとよいでしょう。この際に「気のせいじゃない?」とか「あなたも悪い」とか、そんな風に言わたりすることもあるかもしれません。でも、ここであきらめてはいけません。この周りの人への相談についても1の記録に残しておきます。「1の記録をもとにハラスメント相談窓口に相談する
「1」の記録をもとにハラスメント相談窓口に相談する ハラスメントをしてくる相手の言動とその際の自分の気持ち、周囲の人の受け止め方のデータを基に、第三者に相談します。大きな組織であればハラスメントの専門相談窓口があることもあります。ハラスメントは、ハラスメントへの対応に精通した専門機関へ相談することをおすすめします。 <ハラスメントに詳しい相談窓口> 労働基準監督署にある総合労働相談コーナー 法務局などの人権相談 法テラスなどの弁護士相談
ハラスメントに遭遇したら、自分の心と体を守るために一刻も早くその状況から抜け出すことが必要です。ためらわずにデータを集めて専門機関に相談しましょう。
参考
◆心理カウンセリング
◆LIB Laboratoryの公式LINE
竹内 英子 Eiko Takeuchi
自身の子育てや介護の体験と業務上の個別相談対応から、睡眠は、メンタルヘルスだけでなく身体の健康や日々のパフォーマンスに密接に関連していることを実感し、リラックス法や呼吸法などを取り入れた睡眠指導を行っている。
<保持資格>看護師、保健師
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