妊活は女性だけの努力で成功する確率を上げることはできません。男女の健康な卵子と精子がかけ合わさって受精することは妊娠の大前提です。いくら女性が質の良い元気な卵子を持っていても精子に元気がなく、卵子までたどり着けなければ妊娠には至らないのです。
男性は年をとっても男性ホルモン(アンドロゲン)が働くため精子は精巣内で毎日数千万個つくられています。もちろん、加齢によって質は弱まりますのでそのことを念頭に入れることは当然のことではありますが、一方で、80歳前の高齢男性が年の若い妻と子供を作ったという話も世界を探せばあります。アンドロゲンの分泌量は20歳に頂点に達し、60歳位まではあまり変動がなく、その後一路下降していきます。
今回のコラムでは、元気な精子を育てる方法について、さまざまな文献を参考にメンタルケアの観点も取り入れてお伝えいたします。
■元気で質の高い精子とはどのような状態?
元気な精子とは、最低限1ml中1500万個以上・運動率40%以上あることをいいます。 そして、精子の形も重要となってきます。長細い丸い頭に胴体、そして尻尾がバランスよく整っている精子が質の高い精子と言われ、受精しやすいこともわかっています。また、元気な精子を保つには、1週間に一度は射精することが望ましいと言われています。
■元気な精子を作るにはどうしたらよいでしょう?
アメリカのMayo Foundation for Medical Education and Researchでは以下のように説明しています。参考にしてみてくださいね。
ストレスの軽減 ストレスはセックス意欲を減少させ、またモルモンバランスの崩れによって精子の数を減少させます。
十分な睡眠 体に十分な休憩を与えないと疲労がたまり免疫が下がり体調を崩しやすくなります。
適度な運動 中程度の身体活動は、強力な抗酸化酵素のレベルを上昇させる可能性があり、精子を守ります。
食事管理 抗酸化物質が豊富な果物や野菜を十分に摂取することが精子の健康を改善に役立ちます。精子は酸化ストレスに非常に弱いことが知られています。
体格指数(BMI)管理 一部のリサーチ結果では体格指数と精子の数と動きが関係あると示唆しています。
■ストレスの軽減は何においても一番大切
上記の説明を見てみても「ストレス」との付き合い方がとても重要であることが分かります。
現代社会における生活は様々なストレスにさらされています。適度なストレスは仕事などの生産性を高めることや向上心の増加にもつながりますが、過度なストレスは人間の心身には最大の敵となります。
男性の抱える主なストレス要因には、
職場
経済的
夫婦間の問題
セルフエスティーム(自尊感情)との葛藤
通勤ラッシュ
などがあります。やはり職場でのストレスは大きな問題ですね。ストレスがたまれば、体調を崩しやすくなりますし、もちろん性欲も減少します。
元気な精子は生まれてきません。
■どうやってストレスを減らすことができるの?
男性は女性と違い、自分の問題を自己解決しようとする傾向が世界的にみられます。もし、ストレスによって生活のバランスが崩れかけていると感じたら、経験ある心理カウンセラーに話をしてみることも考慮してください。
また、自身でできることとして、1日10分でよいので自分の時間をつくるようにしましょう。短時間でもよいのでヘッドホンなどを使って好きな音楽を聴くこともよいでしょう。
科学的リサーチでは、一部のクラッシックがストレス軽減につながるという結果を示し、手術室ではクラッシック音楽を流しながら手術をおこなったり、手術前後で患者さんにクラッシックを聞かせるセラピーを取り入れたりしている病院もあります。
ただ、音楽にはひとそれぞれ好みがありますので、自分の好きな曲を選ぶと良いでしょう。
元気な精子を育てるには生活習慣を見直すことが大事です。
まずは身近でできることから始めてみてください。
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安藤 麻矢 Maya Ando
ライター歴20年。専門分野は社会科学。趣味は動物の短編を書いたりイラストを描いたりすること。同情よりも共感が少なくなっている世の中、小さな手助けが人の心を救えることを信条としている。米国大学にて心理学学位取得、香港の大学にて健康行動学でマスターを取得しており、グローバルな視点と知識をもとにしたコラムを執筆している。LIB Laboratoryでは自身の介護経験を通じて感じることを心理学的な視点を交えてお伝えしている。
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