「自分は大丈夫」「パートナーに限ってありえない」など、パートナー同士の性病の可能性について疑問を持つ方はあまりいないことと思います。しかも、お互いに見えない絆があり、今まさに妊活に励んでいる、またこれからチャレンジするなどと言うときなどはなおさら。。。
自由恋愛が活発な世の中、性への誘惑は男女共にあちらこちらに存在します。特に男性の場合は、子孫を残すという動物の本能によって行動するといわれているため、万が一の火遊びがゼロとは言い切れません。出張が多い男性など、特に何もなくても疑ってしまう女性もいることでしょう。 (だからといって、読者の皆さまのご主人が必ずしも浮気をしていると言っているわけではありませんよ!)
ただ、知らず知らずのうちに性病によって妊娠に影響が出ることがあるとしたら、そのリスクは避けたいですよね。
今回は、性病と妊娠の関係について考えてみましょう。
■性感染症と不妊
性感染症とは、細菌・ウイルス・寄生虫が性交渉によって媒介されることで感染する疾患で、病原菌の種類は30種類にも及ぶと言われています。
性感染症は不妊の原因になります。卵管や子宮頸管、さらには骨盤内に炎症を引き起こし、精子や卵子の通り道を塞いでしまいます。病気は放っていくと異所性妊娠(子宮外妊娠)、不妊症、母子感染などが起こり、妊娠中の場合は流産、死産などといった結果も招いてしまう可能性があります。
妊活に入る前に、パートナーと一緒に性病について知識を持つことは大切です。日本ではまだあまり聞かれませんが、香港では政府の啓蒙活動によって婚前身体検査が広く認知され始めています。健康な子供を産むために、結婚するカップルが性病だけでなく地中海結核など感染性の高い疾患をもっていないかを血液検査などで確認します。
結婚前も後も、なかなか身体検査を夫婦で受けるという習慣は日本にはまだありません。パートナーが2人で妊活を決めたのであれば、健康な子供を産みたいと願うのは当然。一度、妊活に入る前に健康診断を受けみることはネガティブなことではなく、むしろ生産性の高い知的な行動と言えます。
■性感染症に隠されたパートナーとの絆の崩壊
性感染症が不妊に影響を与えることは前述したとおりですが、健康診断などで原因が分かれば対処することができ、体は回復します。
ただし、体は回復しても、性感染症のきっかけがどちらかの不貞行為などであった場合、信頼関係が崩壊してしまうこともあります。その回復が今後の妊活においては最も重要なテーマとなるでしょう。 お互い本音をぶつけ合い、絆が深まるのであればよいのですが、そうでない場合は妊活以前の問題となります。
もし、パートナーが浮気している可能性を感じたら、カウンセラーに夫婦関係の修復について相談することをお勧めします。命を生み出すという人生における一大イベントにはパートナーの足並みを揃える必要があります。生まれてくる子供は2人の子どもです。まずは「絆・信頼」という土台をしっかりと整えましょう。
1人で抱え込まずにプロに頼って、少しでも早い関係修復を目指してくださいね。
◆心理カウンセリング
安藤 麻矢 Maya Ando
ライター歴20年。専門分野は社会科学。趣味は動物の短編小説を書いたりイラストを描いたりすること。同情よりも共感が少なくなっている世の中、小さな手助けが人の心を救えることを信条としている。米国の大学にて心理学学位取得、香港の大学にて健康行動学でマスターを取得しており、グローバルな視点と知識をもとにしたコラムを執筆している。LIB Laboratoryでは妊活中の心理に加え、自身の介護経験を通じて感じることを心理学的な視点を交えてお伝えしている。
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